ジャック・デリダはその著作『たわいなさの考古学』で18 世紀の感覚論哲 学者コンディ ヤックを論じた。本論文はこのデリダの著作を論じたもの。 フッサールによれば、現象学は存在と真理の究極の起源の探究として、本来 「始原学 (アルケオロジー)」と呼ばれるべきであった。ガシェは、コンディヤックの『人間知識起源 論』の探究自体も「始原学」の試みであったと考える。その上でガシェは、デリダのテクスト 『たわいなさの考古学〔始原学〕』はコンディヤックの「始原学」についての解釈でありつつ、 フーコー流の「知の始原学」の試みへの批判でもあること、また、あらゆる認識の最初の源 を覆い隠そうとするフッサール現象学への暗黙の批判ともなっていることを示そうとする。 mirroire. Derrida et la philosophie de la reflexion. 深い主要著作 : La Voix et le phenomene : introduction au probleme du signe dans la phenomenologie de Husserl (1967) [『声と現象』 理想社 1970、筑摩書房 2005]、De la Grammatologie (1967) [『グラマトロジーについて』 現代思潮社 1972]、Limited Inc. (1990) [『有限責任会社』 法政大学出版局 2002] connaissances humaines (1746) [『人間知識起源論』 (邦訳は『人間認識起源論』 岩波 文庫 1994)]、Traite des sensations (1754) [『感覚論』 (邦訳は『感覺論』 創元社 1948] ジャック・デリダ『たわいなさの考古学−−コンディヤックを読む』 飯野和夫訳(人文書院, 2006年7月刊,四六版,200頁,2520円,ISBN4-409-03072-8) |