論文
ロドルフ・ガシェ「始原学とたわいなさ」
飯野和夫訳

収録誌
別冊 『環』13: ジャック・デリダ 1930-2004
119-136頁

藤原書店
2007年12月刊 菊大版 400頁 3990円
ISBN-10: 4894346044
 ISBN-13: 978-4894346048


内容

 ジャック・デリダはその著作『たわいなさの考古学』で18 世紀の感覚論哲 学者コンディ
ヤックを論じた。本論文はこのデリダの著作を論じたもの。
 フッサールによれば、現象学は存在と真理の究極の起源の探究として、本来 「始原学
(アルケオロジー)」と呼ばれるべきであった。ガシェは、コンディヤックの『人間知識起源
論』の探究自体も「始原学」の試みであったと考える。その上でガシェは、デリダのテクスト
『たわいなさの考古学〔始原学〕』はコンディヤックの「始原学」についての解釈でありつつ、
フーコー流の「知の始原学」の試みへの批判でもあること、また、あらゆる認識の最初の源
を覆い隠そうとするフッサール現象学への暗黙の批判ともなっていることを示そうとする。


執筆者・関連人物

ロドルフ・ガシェ (Rodolphe Gasché)
1938年生。比較文学。ニューヨーク州立大学バッファロー校教授。著書 :  Le Tain du
mirroire. Derrida et la philosophie de la reflexion. 


ジャック・デリダ (Jacques Derrida)
1930年-2004年。現代の代表的哲学者。フランス国 籍。アルジェリア 出身。本書と関係が
深い主要著作 : La Voix et le phenomene : introduction au probleme du signe dans la
phenomenologie de Husserl (1967) [『声と現象』 理想社 1970、筑摩書房 2005]、De la
Grammatologie (1967) [『グラマトロジーについて』 現代思潮社 1972]、Limited Inc. (1990) 
[『有限責任会社』 法政大学出版局 2002]


コンディヤック (Condillac, Etienne Bonnot de)
1715年-1780年。フランス18世紀の感覚論哲学者。主要著作 : Essai sur l'origine des
connaissances humaines (1746) [『人間知識起源論』 (邦訳は『人間認識起源論』 岩波
文庫 1994)]、Traite des sensations (1754) [『感覚論』 (邦訳は『感覺論』 創元社 1948]



関連著作等

ジャック・デリダ『たわいなさの考古学−−コンディヤックを読む』 飯野和夫訳(人文書院,
2006年7月刊,四六版,200頁,2520円,ISBN4-409-03072-8)





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