『世界形成論』
Dissertation sur la formation du monde
飯野和夫訳

「『世界形成論』解題」
飯野和夫著

『啓蒙の地下文書 II 』所収
(『世界形成論』 955-1019頁、
 解題 1139-1155頁)

法政大学出版局
2011年6月刊 A5判 / 1164ページ 24,000円 + 税
  ISBN978-4-588-15054-8 C1310



解題より

『世界形成論』も内容的に近縁関係にある『蘇ったジョル ダーノ・ブルー ノ Jordanus 
Brunus redivivus 』や『生死一如 Parite de la vie et de la mort 』(『啓蒙の地下文書 I 』収
録)も手写本自体はそれぞれ一部ずつ確認されているだけだが、後の二つの文書はとも
に一七七一年頃『哲学作品集 Pieces philosophiques 』に収められて刊行された。しかるに
『世界形成論』は刊行には至らなかった。刊行される以前のこれらの文書の影響力は、
確認された写本の数からしてそれほ ど大きいものではなかったと思われる。 (・・・) とはい
え、『蘇ったジョルダーノ・ブルーノ』、『生死一如』については、刊行後の一七七〇年代に
はそれなりに読者を得たと思われる。『世界形成論』の場合 はそうしたこともなかったか
ら、一八世紀を通じてその影響はきわめて限定されたものであったと考えざるを得ない。
(・・・)この作品は多くの論者によって言及されるが、それはもっぱら作品の内容の価値
によるものと言える。

『世界形成論』が一八世紀にはさほど読まれたとは思われないにもかかわらず、地下文書
についてのこれまでの著名な研究はどれも積極的にこの作品に言及 してきた。それは
つまるところ、この作品がラジカルな唯物論、無神論、生物変移説を 内容としているから
であるに違いない。

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2011年9月23日付『週刊 読書人』に、本著作を含む『啓蒙の地下文書 II 』についての大橋
完太郎氏による書評が掲載されました。

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 『世界形成論』目次

 第一章 物質とは何か 
 第二章 物質の最初の形相はいかなるものであったはずか
第三章 物質的実体はいかにして運動を獲得できたか
第四章 形相はいかにして生み出されえたか
第五章 形相は結びついてさまざまな存在物を生み出す
第六章 存在物はいかにして感覚を獲得するか
第七章 観念について
第八章 諸存在の生と死について
第九章 むすび